ぶるどり

遊んだゲームの記録

農民もそれなりに楽しめるスクエニの村ゲー「エンバーストーリア」

2024年11月27日サービス開始。
今年「量より質」を掲げて以降のスクエニが満を持してサービスを開始するスマホ向けアプリ、それが『エンバーストーリア』である。


ジャンルは「ストラテジックRPG」となっており、内容としては『Travian』系(『ブラウザ三国志』『リトルノア』『クラッシュ・オブ・クラン』等、いわゆる村ゲー)の作品となっている。
拠点育成、資源採集、兵士育成、そして他プレイヤーとの戦いにより報酬を獲得していきながらワールドの日数経過に応じてゲーム全体が進行し、最後は世界の中心にそびえ立つ塔・キザハシをいずれかのプレイヤーが勝ち取ることで世界がリセットされるという基本的な村ゲーの流れを踏襲している形となる。



本作の特徴としてはスクエニらしいストーリー・ビジュアル・音楽を前面に押し出しつつ、村ゲーとしては新規参入の障壁になりがちな初心者狩りが起きにくい、かつ、内政を重視しても自然と兵力が溜まる作りとなっており、争いを極力避けて内政を重視するいわゆる農民プレイであっても現状楽しく遊べている。
この辺りは触っていないため詳しい所は不明だが、開発元である「オレンジキューブ」が携わっている(運営はgumi)同ジャンル『クリスタル オブ リユニオン』からのノウハウが生きているようである。

・略奪エリアが定められており、基本的に農民は争いと無縁

本作の目的は世界の中心にあるキザハシを制覇することであるのだが、そのためにはまず各ゾーンにある泉とゲートを制圧する必要がある。



この泉やゲートの周辺エリアのみ禁域という特殊なPvPエリアとなっており、そこに近づかない限りは攻撃される心配がないというのが大きな特徴。泉やゲートの奪い合いも普段は行えず、数日毎に21時~22時の時間制限で攻撃可能(ROの攻城戦みたいなノリ)となる為、日夜争いが発生するようなこともなく競技的に戦争が行われるような仕組みとなっているのも戦疲れによる離脱が少なくなる良いポイント。

一応各ユニットには剣<弓<騎<剣という三すくみがあったり、属性有利不利等の要素もあるのだが戦争になるともはや何もわからない。こうなると本当に競技的で紳士的な戦いが行われているのかは定かではないが楽しそう。


なお、この禁域の中には一定時間確保すると報酬が貰える宝箱が湧いたり大きな資源も湧きやすいというメリットもある為、農民であっても比較的安全な時にこっそり侵入して報酬を得るという遊びも生まれている(調子乗ると周辺地域占めてる大手から攻撃されたりはする)のが結構面白い。
拠点は町一個丸ごと載せられる飛空艇という設定なこともあり、アイテムは消費するものの気軽に移動することが出来る。上位勢は必要に応じて禁域から離れたり戻ってきたりとテクニカルに遊んでいる模様。


なお、一番時間が進んでいるワールドでも発生していないため詳細は不明だが、一定期間は禁域外でもPvP可能となる混沌の日というイベントも予定されている。ヘルプには一部ゾーンに適用されるという記載となっている為、平和な場所は残されているかもしれないが最悪の場合はどこに居ても争いに巻き込まれる可能性があり、そこだけは注意が必要そう。
ただし、それでも期間が限定されている為、軌道に乗る前に毎回略奪されて萎えるとかは発生しにくいのと、後述するが内政寄りでもそこそこ戦力が溜まっていく作りとなっているため一方的に搾取され続けることはなさそうで、それだけでもかなり遊びやすいというのは間違いないと言える。

・農民でも自然と強くなる導線

村ゲー知識はリトルノアが最新で止まっている上にそこまで真剣には遊んでこなかったので大分怪しい情報となるが、村ゲーは基本的に拠点を育成する内政要素と他プレイヤーと戦う戦争要素は切り分けられており、どこまで内政に力を入れるか、いつから兵士をどれだけ作るかといったバランスを考えるのが難しいジャンルだった印象がある。
このバランスをミスって兵士や防衛施設を早く作りすぎると長期的に見てジリ貧になったり、作るのが遅くなると防衛できず即終了となる。

本作では拠点防衛時のみバフ効果を発揮する施設は存在するものの、前述のとおりPvPエリアに向かわない限りは無用の長物となっておりそこまで力を入れる必要はない。兵士に関しては木こりなどの採集専用ユニットは存在しない為、内政に力を入れるべく採集要員を増やせばその分戦える兵士が増えて戦闘力が高まっていく。

また、資源とは別に魔獣という存在もフィールドには徘徊しており(突然襲われるようなことはないので安心)倒すことで手に入る素材を使って採集・戦闘用の装備を作れたりもする。同盟で挑める大型の魔獣を討伐する要素もあり、MMORPGの育成感覚で強くなっていく導線が敷かれているのが面白い。
内政に力をいれれば自然と強くなり、強くなると禁域の報酬を取りに行く欲が生まれ、たまに発生する対人戦で意外と戦えるのではという気持ちが生まれ……と、ここまで上手く行くかは人次第ではあろうが、流れとしてはかなり上手く作られていると感じた。

兵士は略奪・泉・ゲート戦以外では基本的に被害を受けても消失することはなく、時間と微量の資源を使えば治療できるという点もかなり安心出来る要素となっている。私の同盟は内政寄りです~と募集かけてた同盟なんだけど一部のメンバーが力に目覚め始めちょっと怖くなってきた、勝てる戦いなら勝ちにいきたくなるのが人の子か……。

・毎日がイベントデーで強くなる

可処分時間の奪い合いが度々話題に上がる令和の時代に正気とは思えないのだが、常にイベントが複数本並走して開催されている。1週間毎に更新されるイベント、1日or2日毎に更新されるイベント、更には4時間毎に更新されるイベントの3種が常に並走していると思って良い。
正直リモートワークじゃなかったら今どきやってられないが!? なんならリモートワークでも結構きついが!? と毎日遊びながら思っている。

イベントは大まかに「レイド」「魔獣」「対人」「内政」の4つとなっている。
「レイド」は毛色が違うため後述するが、他3つに関しては「魔獣」は魔獣を討伐する、「対人」は禁域限定の宝庫獲得か他プレイヤーの兵士を討伐する、「内政」は施設拡張等に加えて兵士を作ることでそれぞれ得られるポイントを一定獲得すると報酬を獲得出来るイベントとなっており、なんとランキング報酬も設定されている。

上位勢であればあるほどランキング報酬を得て強くなり、ランキング報酬を得れば更に上位を維持しやすくなるという作りになっている為、スタートダッシュをしくじればその時点で差が開く一方だし、とにかく時間を注ぎ込めたプレイヤーが有利(覆せ、札束の力で!)という修羅の世界は昨今中々見かけないので驚いている。サービス開始一ヶ月経たないが、割とカジュアルに鯖2位の同盟が爆散したりする。

 

軽めに遊んでいる身としてはポイント報酬をしっかり取りきるというのが丁度良い小目標となっており程よくモチベが保てている。ランキングもランダムでいくつかのグループで振り分けられる為、今回は結構行けそうと思ったらアイテムをつぎ込むことでたまにランキング報酬を貰えたりして結構楽しかったりする。

・同盟加入が事実上必須なバランス設計

村ゲーなので個人的には抵抗ないものの、建設時間短縮や数多くのアイテムを追加獲得できるなど、とにかく同盟に入るメリットが大きすぎてソロゲー思考のプレイヤーはドン引きするほどのバランスとなっている。

同盟所属中は建設時に支援要請を出すことが可能で、ログインしてるメンバーが支援ボタンぽち~っとするだけで建設にかかる時間の何割かを削減することが出来る。これによって数日かかるような大型の建設時は1日以上短縮できたりする。

同盟メンバー(自分含む)がデイリーミッション等をクリアしたり、課金パックを購入したりすると(今どきそんな事ある?)ランダムボックスを受け取ることが可能で、真面目に数えたことはないが資源の獲得量が単純に毎日自力で獲得できる量の2倍くらいにはなっていると思われる。他にも同盟ポイントという概念があり、それを使って結構な量の資源や加速・ブーストアイテム、及びガチャチケ等まで交換することが可能となっている。

前述した同盟で挑める大型の魔獣は、逆に言えば同盟に所属していないと挑めない魔獣となっていたりもする。そこでしか手に入らない素材もあるのでよほどの覚悟がない限りは無言同盟でも良いので同盟に所属することが必須、かつ、同盟が賑やかであればあるほど良い。
私はストーリーを楽に進めたいから誰か! 同じような気持ちの人! 誰か! と呼び続けたら鯖20位以内には入れるくらいの規模になったので助かりました。数々のネトゲを経て獲得したギルマス力が活きたな……。

・割と手強いメインストーリー

村ゲー部分とは独立したストーリーモードが存在するのも本作の特徴。
舞台は過去に滅びて地獄となった数多の世界の上に蓋をするように生まれた世界とされており、大地からは凶悪な魔獣と多くの資源が湧き出てくる。時には滅んだ世界で強い無念を残したエンバース(FGOで言うサーヴァントのようなもの)を引っ張り上げる力を持つ者もおり、なんだかだ魔獣を避け、エンバースの力も借りて資源を回収しながら人々は懸命に生き延びているという世界観となっている。
滅んだ世界からは多くの叡智も得られる為、文明レベルとしては飛空艇を作れる程度には高度。魔獣との戦いとは別に、その力を独占していると思われる勢力とそれに抗うレジスタンス勢力で資源の奪い合いも発生している。

 

主人公は飛空艇を作れる勢力側の人間で、資源回収の要となる新造艦の所有者を選ぶ為の試験に参加する一人であったが記憶喪失となっている。試験会場で事件に巻き込まれるものの、ナビゲーターであるビーチェ、奇跡的に召喚出来たエンバースであるニュクスの両名と共に奮闘して見事切り抜け、進む先では数多くのエンバースとも縁を結びながら活躍することとなる。

シナリオを手掛けるのはWizardry小説でお馴染みベニー松山さんで、現在実装されている部分はまだまだ世界観の説明とキャラ紹介くらいに留まっているものの、会話のテンポは小気味よく中々楽しい物となっている。

お話もLive2Dでキャラが結構動いて面白い。特に気に入っているのがナビゲーターのビーチェで、主人公が記憶喪失な分、世界の説明を一手に引き受けており感情豊かにころころ表情を変えながらとにかく喋りまくる。一方でエンバースのニュクスはどちらかと言えば真面目な寡黙寄りでバランスが取れており、たまに過激な事を言うので楽しい。

そんなストーリーでは時折バトルが挟まり、拠点で育てた兵士を使ってステージをクリアする独立した遊びとなっている。敵を上手く範囲攻撃に巻き込むために誘導したり、予兆範囲を避けるためにキャラ操作したりとこのバトルだけの要素もあったりする。

難易度はかなり高く、サービス開始から20日経ってようやくクリア出来たくらい敵が強かった。どうにかクリアしたいので、経験値アイテムが多くもらえるイベントではランキング入るように頑張ったり等してこれなので、多分のんびりやってたら1ヶ月以上かかるのではなかろうか……。
個人的にはモチベに繋がり頑張れたので良かったが、本当に令和の時代に生まれた作品とは思えないほどのバランスで、これに付いてこれるプレイヤーは果たしてどれほどいるのかと勝手に心配してしまう程である。

なお、前述の「レイド」イベントはストーリーモードのルールでマルチ4人のボスバトルを行う形となる。これも難易度が高く、ノーマル・ハード・ウルトラハードの3種類難易度あるものの、2回開催された中で初回はノーマル、2回目はハードまでしか挑戦権がないほどだった(ウルトラハードは多分鯖上位のメンバーしかクリアできてない)

・そして何と言っても浜渦楽曲

とにかくメインテーマ(だと思われる、タイトル画面で流れるので)が素晴らしいので、以下のトレーラーをナレーション付きだが聴いてくれ……

youtu.be


拠点のBGMもかなり長時間聴くことになるのだが、時間経過で数種類が切り替わりそのどれもがまたずっと聴いていても飽きないほど心地よいリズムで最高。そして勿論、前述のストーリーでも物語を盛り上げてくれる楽曲が揃っている。公式はもっと……BGMをアピールしてくれ!

 

・総評

数年ぶりに遊んだ村ゲーだからという理由が大きいと思われるが、とにかく初心者お断りで敷居の高いイメージとは裏腹に、よくぞここまで遊びやすい作品に仕上げたなと驚いた。

ただし、どれだけ遊びやすくなっていても令和の時代に24時間稼働のゲームは厳しいとは思うし、見知ったタイトルのガワ変えという印象も強い。「量より質」を掲げる前から開発の進んでいたタイトルなので出さざるを得なかったのだとは思うが、到底「質」のゲームだとは感じられなかった。
この手のゲーム、グラブルの古戦場みたいに0時~7時は休止期間みたいな毎日メンテ入れるとか出来ないのかな~。鯖によって期間ずらして夜型用の鯖も作るとかでこう

色々思う所はあるものの、肌に合うゲーム性ということもあり結構面白いと感じてはいるので、サービスを開始した以上はすぐに終わらせず可能な限り頑張ってくれ、スクエニ……!