ぶるどり

遊んだゲームの記録

コンパクトでも楽しさぎっしり! デッキ構築型4Xゲーム「Hexarchy」

2023年10月20日発売。
本作は「4Xゲームの楽しさを60分に詰め込んだ、高速戦略ゲームの決定版」というゲームストア紹介文の通り……要するにコンパクトなCivilizationである。

 

このゲームの特徴は建設・開拓・技術開発・ユニット生成・即時能力など、戦略ゲームのコマンドが全てカード化されており、毎ターンデッキから引いたカードと使用コストの範囲内で行動を行う必要がある。
この為、今このタイミングでは何が出来るんだっけ……? といったルール的な確認が減り、テンポよく進めていくことが出来る。

初期は都市を作るためのカードに加えてひ弱なユニットや即時能力、使い物にならない薪というゴミカード、それといくつかの技術カードのみのデッキとなっている。

 

技術カードを使用するとデッキに複数のカードを加えることが出来るので、まずはこれでデッキを充実させていくというわけだ。
技術カード使用時にはその内の1枚だけ手札に加えることが出来る(残りは捨て札に送られ、次回のデッキシャッフルから引けるようになる)
残りコストを考慮しながら選ぶ必要が迫られる為、とにかく毎ターン何も起きない待ちの手番はなく、何かしらの行動・判断を行う楽しさを感じられるのがゲームとして面白い。

デッキ構築型ゲームのお約束でもあるが、技術カードを使用してデッキを肥やしていくと欲しいカードを引けなくなるという問題も生じてくる。

ここで面白いのが「カードを燃やす」という選択肢である。
このゲームではターン中いつでも何枚でも不要なカードを燃やすことができる。カードは燃やすとターン中の行動コストを得た上でそのゲーム中デッキに戻る事なく消滅させることができる。いわゆるデッキ圧縮だ。

ドミニオンをはじめデッキ構築型ゲームにおけるデッキ圧縮はコストを支払うというのが常であるが、このゲームではむしろコストを得ることが出来る。
この為、カードを何枚も引けるようになる終盤ではとにかく何かしらの行動が行えるので想像以上に1ターン毎の密度と展開が濃くなっていき、あっと言う間に逆転したりされたりといったゲームテンポとなる。

また、各ターン最初の1枚目はボーナスも得られる為、このターンでは既に燃やしたから次ターンで燃やすか、今このターンに燃やしてデッキ圧縮を優先するか……といったジレンマなんかもありつつ、何を駆け引きにすればプレイヤーが面白く悩めるかというゲーム性が良く練られているなと感じる。

勿論強い戦略弱い戦略はあるものの、デッキが重たくなったらその分だけコストにするために燃やすカードが残っているという事になるし、燃やして選択肢が減ったとしてもその分デッキが確実に強くなっているという事になる。
どのようにプレイしたとしても、不思議と損したという感覚はなく、自分の戦略をやれた上で勝つ時もあれば負ける時もあるという形となるため、とにかく遊んでいて楽しいというのが偉い。

また、ターンは全員が同じだけの時間を使って行動を行っていく。ユニットの移動や戦闘は順位が下のユニットから処理されていくというシンプルなもの。
これもあって待っている時間は少なく1ゲームのテンポも早くなっているが、ガチのCivプレイヤーとかはこの辺りのルールが気に食わないとかはあるかも。

あと技術カードは一見していらなそうなものもあるが、画像でいうと「封建制度」の技術を得るためには「金属加工術」を先に使った場合は「乗馬術」使用時に獲得可能といった形になっている。片方だけの技術を使えば良いという訳ではない事に注意。

 

・デイリーチャレンジも面白い

シナリオモードはなく、基本的にはマッチングで遊ぶのを推奨されているゲームとなるのだが、マッチングを待ちながらシングルプレイで時間を潰せるので手持ち無沙汰になることはないだろう。
また、シングルプレイの中にもデイリーチャレンジというモードが中々に面白い。「指定数のヘクスを支配する」「指定された建造物を作る」等のお題があり達成するまでのターン数を競うのだが、デッキから引くカードのランダム性が排除され詰将棋感覚で楽しめるのがかなり面白い。
一度ターン数で1位のプレイヤーと同じまで詰めれた日があったのだが、同じターン数ならスコアの高い方が上位という形であるため残念ながら1位は取れなかった……悔しい。

 

・身内でワイワイはちょっとやりづらい

惜しむらくは、マルチプレイが「マッチング」しかない為に身内だけの遊びがしづらいという点だろう。
正確には身内だけが参加した状態ですぐにゲーム開始すれば遊べるのだが、人数不足分のBOTが入ったり入らなかったりマップが大きくなったり小さくなったりする(多分人数が揃わなかったという形で最適化されている?)
もう少しこの大きさ! BOT何人入り! とかで部屋を作って遊べれば嬉しいな~とは思った。アプデに期待。

 

・総評:60分のボードゲーム感覚でしっかり楽しめる傑作

Civilizationにどっぷり浸かりきったヘヴィユーザには物足りなさはあるだろうとは言え、ボードゲームのようなコンパクトさを保ちながらその楽しさを味わえるのは本当に素晴らしい。
新たなゲーム性という目新しさではないものの、4Xゲームとデッキ構築型ゲームがここまで相性良いとは思っていなかったので、その点だけでも新たな発見として称されるべき作品である。紛うことなく傑作!