ぶるどり

遊んだゲームの記録

令和最新のファイナルファンタジー「FINAL FANTASY XVI」感想(ネタバレあり)

2023年6月22日発売。

言わずと知れたRPGシリーズ、ファイナルファンタジー(以下「FF」)の最新作!

様々な派生作品・リメイク・DLCや、オンラインRPGであるFF14のVerアップパッケージ等を除く正式なナンバリングタイトルとしては2016年に発売したFF15から実に9年の時を経ての新作となる。FF15が9年前とかマジ?

 

カットシーンそのままに描かれる世界が没入感を増す

カットシーン(いわゆるムービーシーン)は本作の肝であり全てであると言える。個人的に特に気に入ったのが光の表現で、全体的に暗い雰囲気の中で煌めく光や炎がとても格好良く、こだわりを感じられた。

 

このカットシーンの画面がそのままにプレイヤーが操作できる状態となり、操作しているといつのまにかカットシーンに入る……といったゲーム体験が作り込まれており、世界に対する没入感がいや増す形となっている。

 

とにかくカットシーンを格好良く見せたいといった部分にフォーカスされてるためか、映像作品が主で時折介入できるゲーム的な要素があるといった作りであるとも言っても良い程ではあった。

この点に関しては個人的に望んでいたゲームではないなと感じるものの、本作の舞台である「ヴァリスゼア」という世界を描ききるという熱量は凄まじいものがあり、荘厳な庭園では思わず「クライヴは庭園で走り回るといった事はしないだろう……」と考え操作キャラを歩かせてしまうし、戦闘が終わったり道案内をしてくれた後にはトルガルという幼少期から一緒にいる狼を思わず撫で回したくなってしまう。

 

そういった部分ではクライヴという主人公キャラを自機としてロールプレイさせる遊びとしてとても良くできており、ゲームの駒をただの駒ではなく、この”キャラクター”はこう動くんだよと動かすような、ミニチュアゲーム的な原初のRPGを令和の最新技術で存分に楽しめた作品とも感じた。

 

・物語を盛り上げまくる超弩級召喚獣戦!

カットシーンとゲームの融合という点で、とにかく召喚獣戦が凄まじい!

召喚獣戦はほぼイベント戦闘ではあるものの、そのおかげで普通に攻撃しても攻撃食らっても、とにかくどんなボタンを押して何が起きても格好良い絵面!!! という勢いで作られている。

 

敵のスケールもどんどんデカくなっていき、タイタンはデビルタイタンとかいう名前で山の如きクソデカに……ってこれはもうデビルガンダムだろ!!!

 

そして何より、とにかくバハムート戦が凄すぎる!!!

映像もとにかく凄いというのに加え、ギガフレアをフェニックスがバリアを貼って防ぐという構図はFF14の真成4層であり絶バハでありやってくれたな吉田という所。

 

バハムート自体が凄まじいことに加えて、舞台は”宇宙(そら)”へ……!!!

しかも金バハになっとるが!?!?!?


そして最後は真成3層オマージュで〆……ありがとうファイナルファンタジーフォーティーン……

 

とにかくスケールがでかすぎるバハムート戦は令和におけるイベント戦闘の極致と言えるだろう。凄まじすぎるのでPS5持ってるなら是非体験して欲しいと思うほどの熱量はあった、それくらいの出来。

 

・物語自体は良くも悪くもなくといった所

正直な所バハムート戦がこのゲームのピークであり、その後はパッとしない戦いとシナリオ、数多の説教臭いサブクエだけが待っている。

 

序盤はクライヴの復讐から始まるもあっさり決着してしまい、クライヴが自身を受け入れるまでの流れがしっくりこなかった。

エヴァのシンジ君みたいにずっとうじうじされても困るからこうなったんだろうが、なんかもうちょっときっかけとか動機づけが欲しくない? となった。

 

中盤はクリスタルが大地から力を吸い上げているので壊そう! という展開となるが、

1つ目のクリスタルを壊してから5年が経過しても、クリスタル自治領側ではあるが、ザンブレクと自治領の間辺りが黒くなっていた(エーテルが枯渇していた)ので不思議な顔になった。

クリスタルを壊せばエーテル枯渇が減っていくぞ! って触れ込みではじめたのにこれは一体……?

 

また、シドが言ってたから信じる! というだけの根拠でクリスタルを壊して回っているので、絶対内部からの不信や裏切りがあるかと思いきやそういうのもなく若干の拍子抜けをした。魔法が使えて、自我のあるベアラーが沢山いるのに離反とか何も起きないのは嘘だろ!?

 

バハムート後、オーディンの使い手であるバルナバスはあれだけ強キャラとして描かれてきたにも関わらず、わりとあっさり勝てたのが個人的にめちゃくちゃ納得いってない。

大斬鉄を繰り出すのも斬鉄剣返し出来る流れも、オーディンの顕現が解けた流れもよくわからんが……仮にオーディンの顕現が解けたのが人との繋がりが芽生えている(=クライヴに近づいている)のだとしたら、それで弱くなったらむしろ駄目だろ。

クライヴのもう迷わない! 的な気合だけでなんとかなるものなの?

 

召喚獣戦としてのスケールも宇宙まで行ったバハムートからかなりダウンしてショボいのもがっかり。と言うか全体的に召喚獣の力が物語によってスケールが変わりすぎだろと気になりはじめる。

 

海を割られた時なんかも、最初のシヴァvsタイタンくらいのスケールなら、シヴァとして顕現すれば割った海を全部凍らせるくらいできそうだけどちょっとした氷のトンネルを作りながら逃げ伸びるくらいになったのは何?(一応、最初の頃は死んでも良いという気持ちで全力出せてたという理由もなくはないのだろうが……)

 

 

オーディン戦が納得いかないまま進めたら、それくらいな勢いのままアルテマ戦も終わった……嘘だろ……。

シナリオ的には絶対的な自分一人を信じる”神”のアルテマを、仲間を含めた俺たちのクライヴが”人”として越える! 的な流れだったのだが、結局クライヴはアルテマからもらった力しか使ってない……よね……?

一応、アルテマがハイパやカタスト(FF3の召喚魔法名)を使い、クライヴがタイタンやオーディンを繰り出して打ち勝つ! と言った形で古いものを新しいものが超えるという流れがあったので、

古いまま止まっているアルテマの召喚魔法を、ヴァリスゼアという世界で人類の営みと共に進化してきた召喚獣の力が上回った、とは解釈できなくもないのだが。

 

あと、神と別れを告げる時は神の力ではなく人の力として勝って欲しいんですよね、それが最後の暁月のフィナーレパンチなのかもしれないが……。

 

個人的な好みの話になるが、せっかく絶対の存在(=それ以上成長しない)と戦うのだから、絶対的な存在ではない(=常に成長し続ける)人として、ガルーダとタイタンの時のように「ラーニング」で成長を表現して戦ってくれたら良かったなあ。

我こそ世界の理みたいな事も言ってたし、召喚獣の力を没収される→人々の願いで新たな理が復活→アルテマのハイパを「ラーニング」してタイタン!

みたいな形で新たな力として打ち勝つみたいな演出が欲しかった所。

そんなこんなでなんかあれこれ、あーだこーだと考えたくなる消化不良気味なラストバトルでした。

 

そういえば、クリスタル全部壊したら魔法に頼らないふいごとかの”技術”を世界に広めるって言ってたのに、なんで魔法が忘れ去られるくらい時代が進んでるのにまだご家庭で火打ち石使われてるんだ?

 

 

・こだわられたカットシーンだからこそ映える演技

シナリオに関しては正直、ゲームの邪魔にならない程度ではあったが決して良くはない、くらいで50点くらいの評価になってしまうのだが、ヴァリスゼアの世界に生きるキャラクター達は魅力的に描けていたように思う。

特にバイロン叔父さんが素敵過ぎる、このキャラクターが一番の萌えキャラと言っても過言ではない。薪割りで鍛えた斧捌き! ダイナミーック!

 

数年ぶりに再会した時の寸劇、死んだはずのクライヴを騙るとは何事か!!! という勢いで登場しておきながら、クライヴを目にしてからの一つ一つの動作から本当にクライヴか……本当に、甥の、クライヴなのか……? と戸惑いながらもじんわり確信に至るまでの演技がとにかく素晴らしかった。

その流れで、再会の喜びで涙声になりながらも子供の頃に遊んだ寸劇の再現に付き合うのがもうめちゃくちゃ泣けた。これ書いてたら泣けてきた。

 

これはカットシーンがリアルなキャラクターで描かれるからこそ高まった感動であり、FF16の中でも屈指の、個人的に一番お気に入りのシーンと言える。

 

・ミニマップが存在しない苦行のサブクエ

システム的な話に移るが、ミニマップが存在しないためとにかくサブクエが遊びづらい。

発売前に放送されたFF16のPLL(PLLではない)では、ミニマップによる没入感を避けるため実装しない決断をしました!

みたいな事を言っていたようだが、普通にサブクエ受注するだけでもクエストマークがめっちゃ表示されて没入感どころではないだろ。

 

そもそも没入感とはなんぞやという状態になる上に、何度もマップをわざわざ開いて確認するという作業が生じるためわりと最悪な決断だった。

 

・オートスロー最高

アクションフォーカスで開始してトロコンまで遊んだが、高難易度のファイナルファンタジーモードでもオートスローの指輪が使えたのでずっと頼りっきりのまま最後までクリアした。

わりとオートスローはそういうゲームなんだなと楽しめたが、高難易度では使用不可でも良かったのではと感じた。雑魚も含めHPが高くなっただけで面倒だな……の気持ちが強かったので。

 

なお、石塔のHARDモードは装備固定なのでオートスローが使えず、良い感じに進めていた回で雑魚の攻撃で怯んでからのボスの攻撃で死んでクソゲー! と叫んだ。

それくらい私はアクションが下手。アクションが下手でもトロコンまで楽しめたからオートスロー自体はかなり優秀で良い装備だとは感じた。

 

・HARDモードはリトライ性が悪い

このゲーム唯一のオートスローが使えないチャレンジコンテンツである石塔HARDモード、ノーマルと同じ演出が毎回表示されるのでリトライ性が悪すぎる。

FF14の高難度コンテンツは、リトライが簡素ですぐ次に行けるから良いのに……そこを理解できてなかったのか吉田……? と勝手に失望しました。

よく考えるとカード引いた後のリキャで開始までの時間が長引く占星の仕様を数年残してたくらいだし、リトライ性はあまり気にしてなかったんだな。

 

・映像の質が高いゲーム作品

総評として、ゲーム部分はアクションが苦手なプレイヤーでも楽しめるくらい良く出来ていたし、シナリオが若干足を引っ張っていると感じるもののカットシーンの出来は令和最新作の名に恥じない程素晴らしい。

ただし、結局のところ本作のウリはカットシーンに尽きるのと、正直バハムート戦等のカットシーンをホームシアターで友人と観ながら馬鹿だろこれ!w(勿論良い意味で)と盛り上がるのが一番良い体験になるなと感じたので、

これから徐々に出てくるであろうVの配信とかで一緒に盛り上がるくらいで良いんじゃないかなと感じる程度の作品でもあった。

 

PS5を持ってれば買ってみるのも悪くないが、この作品のためにわざわざPS5を買うのはオススメしない。