ぶるどり

遊んだゲームの記録

最高のロリ婆が登場するシリーズ完結編「ライザのアトリエ3 〜終わりの錬金術士と秘密の鍵〜」(ほぼネタバレなし)

2023年3月23日発売。

2019年に一作目、2020年に二作目が発売されたアトリエシリーズの最新作である「秘密シリーズ」の三作目であり、今作が最後の冒険と銘打たれている。

 

はじめにざっと感想を書いてしまうが、シリーズの最後に相応しい集大成のようなボリュームとシナリオであり、とても素晴らしい出来であった。

特に一作目から一貫して描かれていた少年少女たちの成長物語という点において、作品を重ねていくことで積み重なっていく時間と成長という概念が重要で、本当に最後なんだな……という暖かさと寂しさを感じて最後は泣いてしまった。

 

しかしながら、肝心のシステムが一・二作目でほぼ完成しており、三作目では目新しい進化はまったくなく、そのせいで非常に惜しい出来だったなとも感じる作品だった。

 

以下各要素についてつらつら書いていく。

 

・何はともあれまずはこの素晴らしいロリ婆を知ってくれ

www.gamecity.ne.jp

公式のキャラクター紹介には以下のように記載されている。

カラ・イデア

「万象の大典」を知る歴史の生き証人

一見すると少女だが、その実は齢千を超える大長老。オーレン族の中でも伝説のように語られる氏族だが、カラはたびたび集落を抜け出しては辺りを散策している。

陽気で茶目っ気もあるが、どこか不思議な貫禄をもつ。
ライザたちの追う扉の謎や「万象の大典」に関しても何か知っているようで――?

 

カラ・イデアスというキャラクターはこの紹介に記載された通り、体躯は年少組と同程度でありながらも大長老としての立ち居振る舞いを備えており、ライザたちに対して最後まで威厳を崩すことなく時には諌め、時には導き、また、過去を知るものとして物語の核心部分をスムースに受け入れるための役目を担ってくれた。

そうした年長者としての役割を保ちつつ見た目通りの少女らしい羽目の外し方も備えており、世の中の目新しいものに対する好奇心も含め、非常にかわいらしいキャラクターであった。

ステレオタイプのようなロリ婆はともすれば精神的な幼さ、愚かさが目立ってしまうような過剰さで描かれてしまうこともあるが、このキャラクターにおいてはそのようなこともなく、ちょっと茶目っ気のあるお婆ちゃんという魅力として描かれているのが特に好印象だった。

 

 

いやほんと素晴らしい。PS5のスクショを見返すと、カラさんが出てきた後はほぼすべてのイベントスクショしてるわ……。ってくらい撮ってて我ながら笑ってしまった。

 

個人的に気に入っているのはやはりカラとディアンの組み合わせ。

パーティ内の最年少キャラであるディアンよりも小さい為、最初は見た目から舐めてかかっていたのだが、次の場面では何かを察したのかしれっと婆ちゃん呼びになっているのが最高すぎる。嗜めるのもかわいい。

会話イベントでは騒がしく話しかけるディアンと、やんわりかわすカラといった場面も多く見られ、端から見ると同じような年齢同士の仲睦まじい姿であるが、実際の会話は子供とお婆ちゃんという、まさにロリ婆の魅力を最大限に詰め込んだようなイベントが何種類も楽しめるのは本当に凄いことですよ。

 

もちろんディアン以外との掛け合いも最高である。ざっくりわけて年少組(ディアン、フェデリーカ、パティ)相手には年長者というポジションが絶対的であり、

ある程度成長した大人として描かれるクーケン島組(ライザ、クラウディア、タオ、レント、ボオス)からは子供らしい部分が深掘りされるが、それでもやはり年長者であるという底知れなさを感じるという関係性が描かれ、

前作までライザたちを導く存在であった年長組(リラ、アンペル)からは、オーレン族に対する知識の深さもあるのだろうが、一切子ども扱いのようなものはなく、威厳ある大長老として敬うような関係性が描かれる。

 

常日頃からロリ婆とは関係性によってその魅力が引き立つものであると主張しているが、ライザ3はとにかく立ち位置の異なるキャラが豊富で、かつ、各キャラ同士の掛け合いやイベントが豊富である為、まさにロリ婆の魅力を最大限に引き出された至高の作品だと言えるだろう。

 

それもそのはずで、本作は公式サイトに記載されている通り4つの地方が舞台となっており仲間キャラも最大で11人となるのだが、仲間が増えるたびに各キャラ同士の会話が各地方に追加されていくのである。

しかも、会話イベントによっては別の地域にしれっと続きのイベントが追加されている……なんてものも少なくないほどで、11キャラ全員の関係性をしっかりと描く! なんたって最後の作品なのだから!!!

というような、もはや執念とも言えるような気迫を感じるほどのボリュームで描かれている。

 

なお、カラが仲間になるのは終盤である為、マップを歩けばほぼすべてカラとその他の誰かの会話イベントがはじまるという状況になっており、もはや今までの苦労はすべて吹き飛ぶくらい最高の最高になった。ライザ3を遊んで本当に良かった……。ありがとうライザのアトリエ3……。

 

・過去シリーズと比べてマップの広さが4倍以上。けれどもシステムは進化せず

そんなこんなでとにかくボリュームが凄いのが本作の特徴であると言っても良いほどである。

なにせ一作目の舞台となっていたクーケン島付近がそのまま1つ目のマップとなっており、同程度の大きさを持つ地域が4つ存在している。単純計算でボリュームが4倍!

実際、シナリオや会話のボリュームなども4倍以上であったように感じられる。

それであるにも関わらず、システムが二作目からほぼ進化していないどころか、劣化している部分すらあるというのが本作の最大の欠点であると言える。

 

ライザシリーズは二作目で霊獣という、マップを早く移動でき、騎乗中はシンボルエンカウントの敵が散っていく便利な乗り物が追加されたのだが……この霊獣に乗っている間、一部の採取やイベントの実行が不可能となる不便さも持ち合わせている。

更には乗り降りする際に笛を吹いて呼び出す、ありがとうと見送る……と微妙に短くないやりとりも発生するのが、非常に不便さを冗長させる作りとなっている。

 

二作目ではレベルが上がっていけば弱い敵は逃げ出すようになるのと、移動速度アップの道具を作れるようになる要素があった為、最終的に霊獣は不要になるものの快適さを自分の力で手に入れることが出来るという作りになっていた。

しかし、なんと本作ではレベル差によって敵が逃げる仕様は削除、移動速度アップの道具に至っては坂道でスライディングが出来るだけというお遊びの道具になるというあからさまなナーフが行われてしまった。

おそらく前作では霊獣が完全に不要となるバランスであった為、本作では最後まで使ってもらいたい……という意図によるバランス調整であろうことは想像に難くないのだが、マップ上の移動が不便になった上でマップの広さが4倍という仕様は最悪以外のなにものでもなかった。

前作で出来たことが出来なくなるというのは想像以上にストレス。

 

また、記憶によるものとなるため正確ではないのだがカメラワークも前作はこんなひどくなかったはずで、マップを駆け回るのが前作と比べてストレスが溜まる仕様となっているのは残念だった。

 

・調合システムもほぼ進化なしの手詰まり感

調合システムは一作目でほぼ完成していたが、二作目では「エッセンス」というアイテムを追加で入れることでより派手な追加効果を付与することができたり、「エボルブリンク」という完成品を組み合わせることで追加効果を得たり別のアイテムに変化させるといったマイナーチェンジ程度の進歩はあった。

 

しかしながら三作目では「エッセンス」や「エボルブリンク」という要素は削除され、代わりに「鍵」を追加で入れる事ができるという要素が追加されたのだが……。

やっていることは固定の効果を得られていた「エッセンス」が、ランダムで効果が付与される「鍵」に変わっただけであり、進歩すらしていないというのが実情である。レシピ変化に関しては完全に削除されている。

 

一応三作目だけの新要素である効果の一部を書き換えるといった要素もあるものの、攻撃アイテムについている状態異常の効果をダメージに書き換えるとちょっとダメージが上がる。といったあまりにも地味すぎる利点しか見出だせなかった。

 

・アイテム管理周りも一切進化なし

ライザシリーズには1~3すべて通してアイテムをジェム返還(売却のようなもの)し、そのジェムを消費してアイテムを複製するという要素がある。

最終的には色々な効果を組み合わせて無限ループを作って悪さをするのが醍醐味ではあるのだが、そこに至るまでには地道に不用品をジェム返還して溜めていく必要がある。

この為、個人的には「同じアイテムを20個以上持っている場合、属性値が低く、その中でも品質が低いものを20個になるまで捨てる」といった事をしたくなるのだが、

並び替え・絞り込み・ジェム返還UIいずれも前作から一切進化無く、品質で並び替え→その後に属性値で並び替え→その後に所持数で並び替え……をした後に手動でここからここまでのアイテムをジェム返還する……という指定を行っていく必要がある。

 

最低限でも並び替えの第一優先・第二優先といった選択は出来てほしかったし、アイテムのランクがB以下を一括でジェム返還等の操作は欲しかった……。

正直前作から3年経ってて何も改善されてないのは本当に何やってたのとしか言いようがない。

 

一応前作からアイテム所持数が2倍になったが、それでもアイテムの種類は2倍以上なので余裕で溢れる為、到底快適な調合ライフを送ることは出来ないのであった。

 

・総評

シナリオライターも一作目で関わっていた高橋弥七郎さんが戻ってきているため、二作目でよくありがちであった

「扉が怪しい、けどまずは周りを調査してみよう!→周りを調査してみた結果なんだけど……多分扉が怪しいよ!」

といった、一瞬で記憶喪失になって同じようなテキストが何度もしつこく繰り返される……みたいな虚無のシナリオは撤廃され、最後まで満足行くシナリオとなっている。

 

システム的な目新しさはないもののライザシリーズの集大成であることは間違いなく、特に一作目が気に入っていたプレイヤーにとってはその最後を是非見届けて欲しい。その価値はある! といった作品に仕上がっている。

システム的な変化があまりないということは、安定して遊べるという事でもある。

 

ただし、本当にシリーズありきの作品であるため、一作目からのファン以外には正直オススメしづらい(絶対途中で飽きるほどのボリュームだし……)というのが素直な感想となる。